7f4a5ebe.jpg連休に入る少し前に、何枚かCDを買って社用車の中で聴いていたので、その何枚かを紹介することにした。
まずはこれだ。

ザ・フーは、英国では、ビートルズやローリング・ストーンズらと同時期にデビューしたロックバンドで、ビートルズやローリング・ストーンズとフーで英国3大バンドと呼ばれていたのだけれど、ここ日本では今ひとつ盛り上がりが足らなかった。
「ザ・フー」といえば、メンバーがステージ上を暴れまくり、マイクは放り投げるわ、ギターも腕をグルグル回して(風車奏法)ステージの上を飛び跳ねるわ、ドラムは叩きながらドラムキットを破壊するわ、挙句の果てにギターでギターアンプを強打してアンプを壊し、ギターも地面に打ち付けてぶっ壊してしまうという、ド派手なステージアクションが有名なのだ。
そしてデビュー当初は、当時の若者の気持ちを代弁するような歌詞が多く「じじいになる前に死んじまいたい」と歌った「マイ・ジェネレーション」が全英2位の大ヒット曲となった。
昔の日本であれば、このようなパフォーマンスや歌の内容から「教育上よくない」とされてしまうのは無理もない。楽曲や歌詞は、ビートルズやストーンズに劣らず素晴らしいのに、その陰に隠れてしまったというわけか。
世の中がレコード→CDへ流れていく時も、ビートルズやストーンズの旧作は、ほぼCD化されたが、フーは、せいぜい「トミー」と「ライブ・アット・ザ・リーズ」と「フーズ・ネクスト」くらいしかCD化されなかった。
レコード盤のベストを聴いてからフーの虜になり、その直後にレコードからCDへ移行した私めはフーの輸入版を買い漁った。RCAの輸入版が池袋や渋谷界隈では安く売られていたこともあり、結局ほとんど買い揃えてしまったのだ。

その後、世の中は「ロックのクラッシック化現象(?)」がおこり、このフーにも脚光が当たったこと、「トミー」がミュージカル化されたこともあって、1990年代中盤には、国内版CDが次々と発売になった。ボーナストラック付きもあった。
でも、海賊版も含めてかなりの枚数を持っていたおかげで、これらのボーナストラックにはあまり魅力を感じず、結局購入しなかった。(あ、「四重人格」は歌詞とライナーノーツの日本語訳が欲しくて買いました。はい。)

先日、CDショップをブラブラしていたら・・・、つい買ってしまった。「フーズ・ネクスト」
多くの人が、ザ・フーの最高傑作であると言うであろうこのアルバム。オリジナル版の発売は1971年だ。
実は画期的な一面があって、今では当たり前のシンセサイザー(電子楽器)を、音楽史上、初めて大幅に取り入れたアルバムなのだ。今までも実験的に使用した例はあったが、曲の全編に入っているというのが珍しかったのだろう。
今でも、1曲目の「ババ・オライリィ」のシンセサウンドをサンプリングしてテレビ番組やCMなどで使っている例を良く耳にする。
私めは、この次のアルバムである「四重人格」こそが最高傑作であると疑わないのだけれど、「四重人格」は2枚組のコンセプトアルバムだ。ストレートなロックということで言えば、確かに「フーズ・ネクスト」の方に分がある。

ただ、この「フーズ・ネクスト」も、実は「ライフ・ハウス」というコンセプトアルバムの為に作られた曲を集めたものだ。前作ロックオペラ「トミー」が成功したにもかかわらず、「ライフハウス」として発売させてもらえなかったのだ。
よって、この中の曲を集めて普通のアルバムとして「フーズ・ネクスト」を発売したのだ。

作曲・ギター・シンセを受け持つ天才ピート・タウンジェンド。曲もプレイも非常に冴えている。
ドタバタと手数の多いキース・ムーンのドラムも、この時は非常にカッコイイと思う。
ベースは、ビンビンとリードベースを弾きまくるジョン・エントウィッスル。彼が居なければ、「ザ・フー」の演奏は纏まらなかっただろう。
今ひとつ影が薄いボーカリスト、ロジャー・ダルトリーの歌声も、この頃が一番脂が乗っていたのではないか。安心して聴くことができる。

曲も、シーケンサーによるシンセサウンドを取り入れた「ババ・オライリィ」や「無法の世界」などは、今でも良く耳にするし、「バーゲン」のようなマイナー調のハードロック、「ビハインド・ブルー・アイズ」のような美しいバラードなど、どれも今でもたまに聴きたくなる曲ばかりだ。
特に「ビハインド・ブルー・アイズ」は後世に残って欲しい名曲だと思う。

そういう意味では、最高傑作とするのもあながち間違いではないような気もするのだ。

このデラックス・エディションは、7曲のボーナストラックのほかに、ライブ盤が一枚ついてくる。2枚組のまことにお徳なセットだ。
先ほど、フーのライブのパフォーマンスについて、暴力的なステージアクションばかりを強調したが、プレイヤーも面子は揃っている。しかも個性的だ。ブレは大きいが、それだけにハマればすごい演奏を聞かせてくれる。

これからザ・フーを聴いてみようという方にも、おススメできる一枚だ。