74947c3c.jpgジェネシスのベストだ。
実は、私めはあまり熱心なジェネシスファンでないことを最初に断っておく。というのが、ジェネシスト(?)といか、マニアの方が確実に存在するバンドだから。
ジェネシスは、本来、ピンク・フロイドやキング・クリムゾン、イエスなどと同じ「プログレシブ・ロック」の雄だった。同じようにメンバーはハイテクニックを駆使して難解な曲を演奏する。
しかし、少し違ったのは、プログレシブロックが衰退した後も、各個人の資質の高さから、ソロでもグループでもヒットチャートの上位に君臨し続けたことだ。セールス的には最も成功したと言えるのかもしれない。

このベストアルバムは、どちらかというと、そのポップな一面が強く出たベストアルバムだ。ジェネシスの長い歴史の中でベスト・アルバムを作ると、そういうことになるのだろう。

ジェネシスといえば、

ボーカル:ピーター・ガブリエル
ギター:スティーブ・ハケット
ベース:マイク・ラザフォード
キーボード:トニー・バンクス
ドラム:フィル・コリンズ

というラインナップが黄金ラインナップとされている。派手さは無いが、イエスなどに負けず劣らずの腕利き揃いで「幻惑のブロードウエイ」などプログレの傑作と言われる作品も出している。

が、ここから、看板のはずの、ピーター・ガブリエルとスティーブ・ハケットが抜けてしまうのだ。ボーカルとギターが抜けたら、普通はそんなバンド解散だ。

しかし・・・、幸か不幸か、ドラムを叩いていたフィル・コリンズという男、とんでもない才能の持ち主だったのだ。ピアノを弾きながら歌を歌い、ソロ活動でもヒット曲を連発。
結局、フィル・コリンズが後任のボーカルに納まり、ジェネシスを引っ張っていくことになる。

マイク・ラザフォードも、スティーブ・ハケット無き後はギターも弾き、「マイク・アンド・ザ・メカニックス」という自らのソロ・プロジェクトでヒット・チューンを連発。ジェネシスのサウンドの骨格は、マイク・ラザフォードの力によるところが大きい。

トニー・バンクスも、キース・エマーソンやリック・ウェイクマンのような派手派手なプレイは無いが、確実なプレイとセンスの良さが光っていた。それに、ほとんどの曲の作曲は、トニー・バンクスの手によるものだ。

こうやってこの3人でレコードを作り、プログレ受難の80年代もジェネシスは英米ロックのシーンの最前線に居たのだ。
ちなみに、脱退したピーター・ガブリエルもシーンの最前線にいた。そう考えるとスゴイことだ。

やはり、印象が一番強いのが、1986年発売の「インビジブル・タッチ」だ。非常に明るいポップな曲で、シングルは全米1位に輝いた。「ロンリー・ハート/イエス」「ヒート・オブ・ザ・モーメント/エイジア」と並んで、3大プログレポップ強力ヒットチューンと言えるだろう。

実は、私めは、アルバム「インビジブル・タッチ」の中で、1曲目の「インビジブル・タッチ」の次に入っていた「トゥナイト・トゥナイト・トゥナイト」が大好きだった。ひどく暗い曲調で、単純に「トゥナイト・トゥナイト・トゥナイト・アア〜」と繰り返すだけなのに、曲の長さも10分近くある。「インビジブル・タッチ」を聞いてアルバムを買った(もしくは借りた)人は、この「トゥナイト・トゥナイト・トゥナイト」でガッカリしたはずだ。
しかし、この「トゥナイト・トゥナイト・トゥナイト」は、シングルカットされてヒットしたのだ。お〜。

今回、このベストを買ったのは、この「トゥナイト・トゥナイト・トゥナイト」が入っていたからに他ならない。以前買ったベストには入っていなかったのだ。

し・か・し・・・。

入っていたのは、シングル用に曲の長さを縮めたシングルバージョンだったのだ(ベスト版なので当たり前か)

ガ〜ン。

この曲の世界にドップリと漬かろうと思っていたのに、あっさり4分ソコソコで終わってしまった。

やっぱり「インビジブル・タッチ」のアルバムを買わないとダメなのか・・・。

気を取り直して。

このベストアルバムは、ほとんどがフィル・コリンズが歌っている曲ばかりだが、ピーター・ガブリエル時代の曲と、後任レイ・ウイルソン時代の曲も1曲ずつ入っている。
だけど、通して聞いてみると、やはりフィル・コリンズのボーカルが圧倒的に存在感があるのだ。
元は雇われたドラマーなのに、途中からはグループを引っ張り、ソロでも活躍してしまうという珍しい例だ。

シングルヒットばかりなので、ポップな曲中心だし、メロディーもキレイな曲が多いので、ドライブで流しておくにも非常に心地いい。

これからの季節にもおススメかもしれない。