駅正面戸坂駅はJR西日本の芸備線の駅だ。場所は広島市東区戸坂地区(戸坂惣田)にある。
この「戸坂」という地名は東京から出てきた当初はちゃんと読めなかった。「とさか」あるいは「といた(東京にこの名前の女子大がある)」などと読んでしまっていたが、実は「へさか」と読む。しかもアクセントは「さ」と「か」につく。なんかシックリ来ないような感じだが、広島弁で「へさか」と読むとこの読み方が実にシックリくるのだ。ちなみにIMEで「へさか」と入力して変換しても「戸坂」とは出てこない(涙)。
東区と言うと、広島駅の新幹線口近くに東区役所があるくらいだから、広島市の中心域の一部をなす区だ。勿論「旧市内」。旧来からの広島の方においては、そこが「旧市内」であるかどうかは、非常に重要な事柄なのだ。が、すぐ裏は山があって、松笠山の山裾の高台に駅が設置されているし、近くには中山峠もある。
でも、ここは泣く子も黙る「旧市内」なのだ。なのでか、芸備線の中では、広島、安芸矢口、下深川に次いで4番目に乗降客が多い駅となっている。
線路側からホーム
しかし、単線でホーム1面の無人駅だ。ホームは8両編成が停められるほど長いが、どう見ても旧市内にあるとは思えない設備の貧弱さ。この設備で1日1,500以上の乗降客をさばいているのだ。

時刻表待合室に入ると時刻表がある。以前は急行みよし号が走っており、この駅は通過したが、現在は快速を含む全ての列車がこの駅に停車する。日中は20分ヘッド。朝7時台の上り列車が多く設定されており、8時台は非常に少なくなっている。これはここから15分程度の終点広島駅が市の中心部から少し外れていることが影響しているのかもしれない。

編成注意書き時刻表の横に面白いものを発見した。「列車行き先のお知らせ」とある。いやいや「鉄」が泣いて喜ぶ注意書きだ。
広島方面の716発は、休日より平日の方が編成が長いというだけだが、下りが非常に面白い。
553発は備後庄原行きの2両編成だが、塩町で切り離して前一両は福塩線に入り府中まで行く。後ろ1両はそのまま芸備線を走る。
614発は、平日は8両の長大編成だ。後ろ3両は客扱いをしない(回送)だが、下深川で折り返して上り列車に仕立てるのだろう。で、前5両は狩留家まで行って折りかえすのだろう。休日は2両で充分事足りるということだろう。
704発三次行きも6両編成だが、後ろ4両は下深川で切り離して折り返し上り列車に仕立てるのだろう。
804発三次行きも同様に5両編成の後ろ3両を下深川で折りかえす。
そして1430発備後落合行きも、553発と同じく前1両が福塩線に入る。
ディーゼルカーは機動性に富むから、こうやって広島にあるディーゼルカーを郊外に運ぶ。でも下り列車は上りほど需要が無いから、それほど本数を設定しなくてもいい。そうすると、このように併結させて運ぶしか方法がないということになる。郊外の駅に何本も列車を駐泊させることはできないし。
だから今でも長大な構内が残っているのか。
いやいや、こういうのを見てワクワクしてしまうのは、やっぱり「鉄」の血が残っているのかな。

改札改札はicoca対応の簡易改札機がひとつ。無人駅だが自動券売機がある。

ホームの設備ホームにある設備はこれだけ。列車が停まる部分は少し嵩上げしてある。所謂「共用ホーム」の高さだ。

トイレトイレは和式水洗と男性小用が一つずつ。この手のトイレにしては非常に清潔であったことを付け加えておく。紙は無いけど。

松笠山登山口ホーム正面には松笠山が聳え立つ。鳥居があってここから松笠山に上ることができる。駅横の第一種踏切を渡ると登山口に行くことができる。

ホーム裏ホームの裏は少し空間があって、生活道路となっている。

鉄道用地境界標道路と民家の間に鉄道用地境界票があったから、この生活道路も鉄道用地である。かつてはホームとの境界は無く、ホームを通って生活していたのではないかと推測される。これも「鉄」にはたまらないが、実際利用されている方にとっては危険極まりない。柵が出来て良かったのだろう。

快速駅から坂を下りたところが戸坂の中心地で、スーパーなどの商店も集中している。安芸大橋で大田川を渡ると安佐南区(旧祇園町)で進境著しい。沿線も住宅造成が行われており人口の増加とともに道路の渋滞も多くなっている。なので芸備線の役割は大きいのではないかと思うのだが、地元の方にとってこの戸坂駅は「使いづらい場所」にあるようだ。かつては戸坂駅から広島寄りに「石ヶ原駅」「安芸中山駅」、三次寄りに「安芸小田駅」があったようだが現在は廃止されている。これらの駅の復活と増発で、芸備線はまだまだ発展の余地がある路線だと感じた。