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「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」
「環境問題はなぜウソがまかり通るのか2」
武田邦彦著 洋泉社

2週間くらいかけてずっと通勤時間中で読んでいた。通勤電車に乗っている時間って14分しかないからナカナカ進まないのだ(苦笑)。

ここ数年、環境問題周辺が騒がしい。地球温暖化やらゴミの分別やらCO2削減やら、バイオエタノールやらもそうだ。

私めも、かつて多少化学をカジった人間だから、この本の大体の内容は理解できた。
勿論、この本が全てでは無いと思うが、リサイクルは消費活動を拡大するというのは解らないでもない。リサイクルという免罪符のもとに、モノを大事に使わない傾向が加速するからだ。リサイクルに出すことは捨てることより罪の意識が少ない。
すなわちまだ使えるものでもリサイクルに出して(捨てて)買い換えるようになる。そして、買い替えのサイクルが短くなれば生産活動もより活発になる。生産活動が活発になれば産業も発展し、当然利益を得る人が出る。一方では生産活動によるCO2の排出も増えるのだが。

さらには、この本に書いてあるペットボトルやプラスチックのリサイクルが殆ど行われていないことが真実であれば、そしてリサイクルよりも焼却の方がいいということであれば、いったい毎日のゴミ分別は何なのかと考えてしまう。
レジ袋の削減と言っても、レジ袋はペラペラで薄いし、その原料は安いポリエチレンなどで元々余りものの石油で作られたものだ。なのにしっかりとしたエコバッグを新たに作れば石油は余分に使うしCO2も排出する。エコバッグが売れれば当然利益を得る人が出る。
食料問題だってあるのに、わざわざ手間を掛けて食料を燃料に変える(バイオエタノール)。勿論、バイオエタノールを作るにも原油が必要だし、その過程ではCO2も排出する。

環境問題は科学の力を超えてしまっていて、「科学の力ではできないこと」も「できる」と間違った解釈の報道をされて、庶民が騙されているということなのか。

結局、環境問題の解決は人間の生活レベルを下げるしか無いという結論なのだけれど。
出来ることと言えばやはり、モノを大事に使い、いらないモノは買わない。食べ物を大事にし食べ残しは出さない。これしか無いのだろうけど。(何気に頭が痛い)
少なからずとも消費社会の中に身を置いている立場としては非常に複雑だ。例えば、物を作っている企業が繁栄するためには「物を多く作ること」「物を多く買ってもらうこと」が必要で、そのためには「いかに買い換えてもらうか」が非常に重要なテーマなのだから。
自分自身はそんな会社から給料をもらって日々生活している。

でも、そこから逃げ出したりは出来ないし、イキナリ私め個人のレベルで、明日からゴミの分別をやめたり、レジ袋の使用を再開させたりは出来ないしね。環境諸問題は「やり続けていればイイコトあるさ」くらいの大きな気持ちで接しないといけないのだろう。

ここのところの原油価格の高騰による各種の値上げは消費活動を鈍化させている。これはもしかしたら環境問題を気にした神様が仕向けたことなのかもしれない。そんなことを考えてしまった。

今夏、今度こそ新しくテントを買おうと思ったけれど、再び保留にした。