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コレも高野俊一さんのおっさんひとり飯をアマゾンで頼んだ時に一緒に購入したうちの一つだ。
2007年12月10日にロンドンで行われた、一夜限りのレッド・ツェッペリンのライヴ演奏を収めたDVD+CDだ。一夜限りの再結成ライヴの事は以前のブログ記事でも少し取り上げた。朝日新聞の社会面(芸能や文化面でなく)に取り上げられ、朝のテレビ番組(とくダネ)でも取り上げられたのだ。

それが5年の月日を経て公式版で発売された。

レッド・ツェッペリンは、1968年から1980年迄活動したロックバンドだ。ビートルズが解散した後、全米1位アルバムも6枚出すなど大ヒットを記録した。
が、ビートルズやカーペンターズ等との違いというか、皆が口ずさむような、あるいは学校の教科書に載るような、所謂美しい「佳曲」は無い。名曲と言われる「天国への階段」だって長過ぎて教科書に載せるにはちょっと・・・。
ある意味、ロックを難解なものにしてしまった立役者のうちのひとりかもしれない。でも、レッド・ツェッペリンのナンバーは、他には変えがたい魅力があるのだ。それは、彼らが演奏するから得られる魅力なのだと思う。

今の時代、レッド・ツェッペリンの曲をもっと上手に演奏できるプレイヤーは腐る程いるだろう。ジミー・ペイジよりも上手くて正確なギタリストだって、ロバート・プラントよりも高い声が出て上手なボーカリストだって、ジョン・ポール・ジョーンズよりも才覚があるベーシスト/キーボーディストだって、ジェイソン・ボーナムよりもパワフルなドラマーだって、探せばいくらでも居る筈だ。

でも、やはりツェッペリンのナンバーは、彼らでないとダメなのだ。
彼らもそれを解っているのか、あるいは商売上の演出なのか、ジョン・ボーナムを失って解散した後は、滅多なことがなければツェッペリンのナンバーは演奏されなかったのだ。
確かに、たまに演奏されたライブエイドやアトランティック40周年の再結成ライヴでの貧弱さや、ペイジ/プラント等で物足りなさを感じたのは事実だし。

今回のライブは、レッド・ツェッペリンという形で1ステージ通しの形だ。現役時代と同じく、サポートメンバー無しで4人だけの演奏となっている。キーボードが必要な曲は、ジョン・ポール・ジョーンズが弾く。その時は足でベースペダルを扱う。なので、以前のペイジ・プラントなどと比べてソリッドな印象を受ける。実にカッコいい。

歳はとってしまったが、やっぱりレッド・ツェッペリンという形のライヴは一味も二味も違う。なぜだろうか。それこそが良く言われる化学反応であり、レッド・ツェッペリンたる所以なのだと思う。
それでもやっぱりドラムに物足りなさを感じてしまうのはどうしても仕方ないことなのだ。それだけジョン・ボーナムは偉大だったのだ。映画「永遠の詩」で子供用ドラムをたたいている幼児が、これだけ筋肉隆々の成人になって、お父さんソックリのドラムを叩いている。普通のドラマーとして見れば相当な実力だと思うし、現在、お父さんの代わりが出来るのは彼しか居ないのだろう。彼はドラムを叩きながらコーラスも担当しており、それは微笑ましかったりする。できれば彼のボーカル入りの「限りなき戦い」を聞いてみたいところだ。
ジミー・ペイジのギターも素晴らしい。円熟味が出てカッコいい。ロバート・プラントもキーを下げた曲もあるが頑張って声を出している。そして何よりジョン・ポール・ジョーンズのプレイがいいですな。ビジュアル的にもいい具合に歳をとったのでは。

そして、今回のライヴ、現役時代はあまり披露されなかった曲も披露されている。オープニングは「コミュニケーション・ブレイクダウン」でも「移民の歌」でも「ロックンロール」でもなく、「ウィー・アー・ゴナ・グルーヴ」でも「トレイン・ケプト・ア・ローリン」でもなく、「グッドタイムス・バッドタイムス」なのだ。1stアルバムのトップナンバーで間違いなくレッド・ツェッペリンの代表曲でありながら、ライヴでは殆ど演奏されなかった。他にも、「ランブル・オン」や「フォー・ユア・ライフ」なども、当時は全く演奏されていない筈なので、意表をつかれたナンバーだ。そして後期には演奏されなくなってしまった「幻惑されて」が演奏されたのはとても嬉しい。
代わりといっては何だが、前述の「コミュニケーション・ブレイクダウン」や「移民の歌」、あるいは「アキレス最期の戦い」「オール・マイ・ラブ」などの曲は演奏されなかったのだけれども。他はベスト盤と呼べるような選曲となっている。

但し、気になるのは、すでにこの時から5年経過しているのだ。この時のライヴは確かに凄いと思うけれど、この時から5年歳を取っている現在でも、このような凄いパフォーマンスが出来るのだろうか。出来ると信じたいところだけれども、ジミー・ペイジは来年70歳になる。

そういう意味でも、やはりライヴ直後に発売して欲しかったな。